「1級土木施工管理技士」に合格した私の勉強方法と大切なこと

「1級土木施工管理技士」に合格した私の勉強方法と大切なこと

私は2015年度の1級土木施工管理技術検定試験を幸運にも1回で合格することができました。当時、使用した参考書や勉強方法が皆様の参考になればと思い、下記にその一部をご紹介したいと思います。

勉強方法

試験は1次試験(マークシート)、2次試験(経験記述 + 穴埋め + 短答記述式)があります。合格率は1次試験が約50%、2次試験がそのうちの約50%で、単純計算で25%となります。ここで注意すべきなのは「去年の試験で1次試験に合格したが2次試験には不合格だった」という受験者は、申請により(翌年に限り)1次試験が免除されます。つまり最終的な合格者の中には、1年間「浪人」した受験生が含まれているため、一発合格の受験者は25%より低い数値になります。一般財団法人全国研修センターでは、この比率や割合を明らかにしていませんが、1度の受験で合格を目指すには、特に二次試験の対策が重要になると思います。

使用した参考書・テキスト

試験対策としては「過去問を繰り返し解く」ということが間違いなく一番の対策になります。予想問題的なものは時間と体力に余裕がある方が取り組むべきで、過去問を100%解答できるようにすれば、はるかに効率的です。

1次試験

1次試験はマークシートでの出題になります。成美道出版の「1級土木施工管理技術検定 過去5年問題集」を繰り返すことで十分、合格圏に達することができます。

回数は1年度分を5回解くことを目標に学習するとよいでしょう。(要領のよい方や時間のない方は3回でも十分です。)また、辞書のように使える参考書として挙げたいのが誠文堂新光社の「図解でよくわかる1級土木施工管理技術検定」です。この2冊の組み合わせで十分な対策が取れます。

過去問を解く場合、1回目は制限時間を気にせずに、「問題を解き、解説を読む」というフローを行ってください。なお、自分の専門とする範囲外のことは解説を読んでもイメージのわかないこともあります。携帯電話やパソコンで調べながら学習する方法は、画像などが視覚的に入ってくるためお勧めです。またユーチューブなどで「○○工法」などと検索すると、技術力を紹介したい会社が施工例をかなりの割合でアップしていますので試してみてください。理解が速くなります。

なお、この時点ではおそらくわからない点が多いので解説や問題への書き込みは極力避けましょう。(回数を繰り返すうちに、最初に引いたアンダーラインが邪魔をして、本当にどこが重要なのか分からなくなってしまうためです。) どうしてもメモが必要な場合はポストイットなどの大きめのものを使って、そこに書き込み、貼り付けるべきです。私事ですが、平成24年度の過去問を学習した時は1回目3割→2回目5割→3回目7割→4回目9割…という結果でした。点数の結果は気にせずどんどん過去問を回していきましょう。

2次試験

「経験記述」と呼ばれる論文形式の問題がこの試験最大の関門です。「品質管理・出来形管理・安全管理・工程管理・施工管理」などの中から指定された内容で、自分の施工経験を論文化して工事の問題→解決を記載します。これは、本番で考えていては間に合いませんので予め作成していくことが受験上の常識となっています。当然、試験ではどの内容を問われるかは本番までわかりませんので、少なくとも上記の5分野については文案を考えていく必要があります。

参考書のお勧めはOhmshaの「1級土木施工管理 実地試験」と誠文堂新光社の「図解でよくわかる1級土木施工管理技術検定(実地試験)」です。

経験記述が75例出ていて、かなり極端な専門分野でも記載例があると思います。使い方として、まず大切なのは自分の専門分野以外でも経験記述例を読んでおくことです。これにより、専門は違っても様々な工事に共通する「着目点」や、経験記述の書き方の「型」が身に付きます。

また、私事ですが、専門分野が鉄道工事だったため一般土工に比べるとニッチというかマイナーな分野だったため、経験記述例の情報集めに苦労をしました。そこで類似する工事の「道路工事」のポイントを「鉄道工事」に置き換えてみるなど、工夫次第でバリエーションを広げられたと思います。「曲線部で観測点を増やし、出来形管理の対策とした(出来型管理)」とか「建込型の土留めを使用することで、経済性と環境保護の両立を図った(施工管理)」「工事が輻輳していたので協議組織を立ち上げ、毎週金曜日に互いの工程をやり取りすることで手待ちがなくなった(工程管理)」などは相互に「融通」が利くと思います。参考にしてみてください。

過去問をまわす回数はできるだけ多くしてください。おそらく、1次試験の合格発表後からでは十分な学習時間が取れないと思います。私は業務が多忙な時期と重なり、3回程度しか過去問をまわせませんでした。1次試験が終了したら、試験対策の予備校などで回答が公表されるのでチェックし、早めの対策をとりましょう。

試験結果

1次試験

会場は都市部の大学キャンパスが指定されます。私の場合は明治大学でした。茶髪にピアス、長財布のオニイチャンから女性事務員と思われる方、作業着の方、60代以上と思われる年配の方などさまざまで、「これは何の試験か」と思ってしまうくらい混沌としています。

試験はほとんどの方が、試験時間内に終わります。逆に、試験時間の最後までペンを動かしている人は、残念ながら勉強不足の感を否めません。ただし途中退室してしまうと、問題用紙を持ち帰ることができません。試験の緊張から早く解放されたいのはわかりますが、試験終了から合格発表までの1か月の間、モヤモヤするくらいなら問題を持ち帰れるようになるまでの1.2時間を我慢しましょう。

答え合わせ

試験が終われば1週間程度で解答がインターネット上に出回ります。資格試験の専門学校のサイトで「東北技術検定研修協会」がメールアドレスその他の情報を記載しなくても解答を公表していましたので利用しました。合格基準が6割以上ということでしたが約7割の正解率でした。

2次試験

2次試験が近づくと2chなどの大手掲示板サイトでは、あたかも競馬の予想屋のように「今年は品質管理だ」「いや工程管理が来る」などといった話題が盛り上がります。多忙を極めているのか「安全管理一択で行く」などと宣言する猛者もいるわけで、2次試験の論文の中身について受験者の関心は高まります。

試験会場は1次試験と同じ明治大学でした。1次試験で見かけた足場屋のオニイチャンたちは一掃されています。会場の雰囲気も、どこか1次試験よりも緊張が感じられます。私が受験した時は、2年続けての「安全管理」でした。比較的、書きやすい内容ではありますが、1年に1度の試験、そして初めての1級土木施工管理技士試験とあって大変緊張しました。そのせいか、予め経験記述を準備していたにもかかわらず、思いのほか時間を要しました。

また穴埋め + 短答記述式については、初見の問題も複数あり、確かな手ごたえをつかめないまま試験を終了しました。この2次試験は9月に実施されましたが、試験結果発表は次の年の1月ということで、約4か月もの間、生殺しにされました。今更どうしようもないと考えてみても、年に1回しか実施されない試験であり、なかなか自分を納得させられず、悶々とした日々を過ごした記憶があります。年明けの合格発表では、無事合格することができました。

試験に受かるためのコツ

2次試験は「6割以上の得点」とだけ、合格基準が示されています。経験記述で何割か、穴埋め + 短答記述式で何割かという配点が公表されていないため、受験生としてはどちらもないがしろにはできません。二次試験の合格率は1次試験とほぼ一緒ですが、1次試験よりも内容、レベルともにタフであったと感じます。また、配点がわからない以上、ここまでできるようになればOKという見通しが立てにくく、対策に苦労した理由に挙げられます。

ここが大事だった

1年目で1次試験合格、2年目で2次試験合格といった考えをお持ちの方を、受験用掲示板などへの書き込みで見かける場合がありますが、1発合格を狙わないとモチベーションが持ちません。それこそ年中勉強している状態に陥ってしまいます。

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