私が施設警備業務検定1級に合格した方法

私が施設警備業務検定1級に合格した方法

「施設警備業務検定1級(以下、施設1級)を取るよう、会社から言われたけど、勉強が苦手で自信がない…」
「施設1級は実技試験があるから、体を動かすのに不安がある自分には難しいのでは…」
今回は、そんな不安を抱いている人たちに向け、私が施設1級に合格した方法をお伝えします。

そもそも、施設1級とは?

警備業法に基づいた「警備業務検定」という資格の中のひとつで、国家資格です。警備員自体は未経験でも可能な場合は多いですが、警護する施設によっては施設1級を必ず配置することを義務付けているところがあります(空港など)。そのため、警備会社にとっても施設1級の資格保持者は重要な存在です。

施設1級の検定試験の受講条件

まず「施設警備業務検定2級(以下、施設2級)」を取得していることが条件です。そして、施設2級取得後、1年以上の実務経験が必要です。社命ではなく、個人で施設1級を取得したいと考えている人は、以下の条件を自身が満たしているか確認しておいてください。

施設1級の資格を取得するには、以下の方法があります。

  1. 公安委員会が行う検定を受験する方法
  2. 国家公安委員会の登録を受けた登録講習機関「一般社団法人警備員特別講習事業センター」が行っている「特別講習」を受講して修了考査に合格する方法

今回は私が受講した②の特別講習での受験方法を紹介します。特別講習での受験は、①の方法と比べて、「連続2日間の学科講習・実技講習を試験の直前に受講できる」というメリットがあります。

特に実技講習については、本試験で使用する機材を使って講習員が直々に指導してくれるのが大きいです。後述しますが、実技試験は消火栓や警戒センサーを使用する科目もあるので、普段、仕事の合間などでしっかり練習するのは困難です。どうしても代用品を使うか身振り・手振りのみでの練習になってしまうはずです。そのような状態でいきなり本試験に臨むと、不安でいっぱいになりミスをしたりパニックになることでしょう。そのリスクを避けるためにも、特別講習での受験をおススメします。

実技試験をどう勉強するか

さて、ここからいよいよ本題に入ります。施設1級の試験は、大きく分けて①実技試験②筆記試験の2つです。それぞれ、試験の概要を説明し、実際に私が行った練習・勉強方法を解説していきます。実技試験は、全部で6科目あります。内容の詳細は特別講習受講を申し込んだときに資料をもらえるので参照してください。それぞれの概要と対策は以下のとおりです。

警戒じょうの操作要領

護身用具として携帯する警戒杖(警戒じょう)の取扱いに関する実技試験です。「基本の構え→警戒じょうを振る準備の構え→警戒じょうを振る」。この流れを、4種類の振り方で実施します。

対策

普段の練習で、私は警戒じょうの代わりに、長めのモップやほうきを使ってました。一連の動作を通して練習しても1分くらいで終了するので、ちょっとした空き時間にすぐに練習できます。
これは実技試験全般で言えることですが、資料を見ただけではイメージがつきにくいです。もし施設1級の合格者、もしくは受験経験者が身近にいるならば、ぜひともアドバイスをもらってください。
それでも、警戒じょうの操作要領に関しては、資料を見て何となく自分で練習する、それだけで十分です。あとは試験前の現地での実技講習で埋め合わせができます。

総合管理システムの操作要領

総合監視盤・2号消火栓・センサーの復旧要領に関する実技試験です。この試験は、他の受験生とコンビを組み、試験を実施します。それぞれ警備員A(総合監視盤)、警備員B(2号消火栓・センサー復旧)に分かれ、総合監視盤が発報したと想定し、適切な動作を実施します。

対策

実技試験の中で、一番対策が難しい科目でした。なぜなら、試験で使用する総合監視盤・2号消火栓・センサーを普段の練習で準備するのが困難だからです。ただし、試験自体は資料にある流れ・文言・動作をそのまま実施していくだけです。演劇のワンシーンを演じる感覚で、まずは試験中に発する文言を演劇のセリフと思って覚えましょう。セリフを覚えてきたら、移動したり無線機を使う動作を取り入れていくと効果的です。とにかく、試験前の現地での実技講習までにセリフを完璧に覚えておきましょう。

出入管理実施要領

手荷物検査・身体検査を含めた、人や物に対する出入管理に関する実技試験です。この試験は、他の受験生とコンビを組み、試験を実施します。それぞれ警備員、入館者に分かれ、警備員が入館者の手荷物を確認、ハンドタイプの金属探知機で身体検査を行います。

対策

(2)と同様に資料にある流れ・文言・動作を実施していく試験です。ただし、(2)より覚えるべきセリフ・動作は少ないです。実技講習までにセリフを覚えておけば問題ないでしょう。

外周巡回実施要領

建物の外周りの巡回要領に関する実技試験です。巡回の準備から始まり、4つのチェックポイントを順番に回り、それぞれ用意された状況・物品に対し適切な対処を実施します。

対策

(2)(3)と同様に資料にある流れ・文言・動作を実施していく試験です。(2)より覚えるべきセリフ・動作は少なめ、(3)よりは多いイメージですこの試験は「夜間、施設の外を巡回する」という想定で実施するので、常に周囲を警戒しているかが重要になってきます。

ポイント間の移動、異常発見時はもちろん、その後の無線報告の際も周囲の警戒を動作として表わす必要があります。普段の練習でセリフを覚えて発声する際、首を左右、上、正面と動かし、警戒を表現する練習をしておきましょう。

警察機関への追加連絡要領

警備対象施設で事件発生、既に警察に連絡済みという想定で、新たに発覚した事象を警察に追加連絡するという実技試験です。新たに発覚した事象を映像で確認、その内容をメモに取り、電話で警察(試験管)に制限時間内で報告します。

対策

どのような映像が流れるかは試験当日まで分からないので、対策は難しいですが、実技講習で着眼点が大体、見えてきます。普段の練習としては、速度と丁寧さを意識したメモ書き要領と、電話での説明要領の訓練でしょうか。日頃の業務でこれらに携わっている人は実技講習で要領を掴めば問題ないです。

警備計画書作成要領

業務管理の実技として「警備計画書」を作成する試験です。箇条書きとなった「打合せ内容及び事前調査事項」に基づき、虫食い状態となった「警備計画書」の穴埋めを行います。

対策

内容としてはほぼ筆記試験です。穴埋めするための情報は「打合せ内容及び事前調査事項」にほぼ記載されています。記載事項の表現を変えて穴埋めをすべき箇所はありますが1~2項目ほどで、難易度は低いです。実技講習を真剣に受ければ問題ないです。

筆記試験の勉強方法

筆記試験は、設問が全部で20問あり、設問ごとに5択の選択式の試験です。受講申し込み時にもらえる教本の内容から基本的に出題されます。

対策

私は全国警備業協会編集・発行の問題集「施設警備業務1級模擬問題集200問」を購入しました。

この問題集は本試験と同様、設問ごとに5択の選択形式の出題で、全部で200問です。私は試験当日までに4周、問題集をやり込みました。具体的には、試験日の3週間前から、1日40問を必ず解き、答え合わせをして間違えた設問にチェックを入れる、という手法を実践しました。このくらいのペースなら、仕事をしながらの合間にできるかと思います。

これだけ問題集を解いていると、試験当日での学科講習での理解度が全く違ってきます。また、筆記試験の内容は、この問題集の出題傾向とそっくりです。問題集の正解率が90%以上になれば、ほぼ安心でしょう。

試験当日

特別講習での受験だったので、2日間の学科講習・実技講習を受けてからの試験でした。その際に私が心掛けたことは、

  1. 実技講習は納得がいくまで練習する
  2. 実技試験では大きな声を出す
  3. 筆記試験は全問解答後、3回見直す

以上3点でした。

①に関しては、普段の練習でできなかった部分を埋めるために必須でした。初日の講習終了後、機材を使って自由に練習できる時間が設けられていたので、時間の許す限り
反復して練習しました。不安がなくなるまでやるべきでしょう。

②に関しては試験本番での心構えですが、声が小さいと、やはり自信がなくなり、動作に
影響が出てくるものです。腹から声を出しましょう。

③に関しては、筆記試験は選択式で20問なので、制限時間よりかなり余裕をもって全問解答できるはずです。そこで気を緩めず、見直しを何度も行いましょう。合格の要件が90%以上の正解なので、3問間違えたら不合格です。ケアレスミスが無いか、何度も確認しましょう。

おわりに

施設1級は、合格率が約60%です。これを高いと見るか低いと見るかは意見が分かれるかと思いますが、合格者と不合格者を分ける最大の要因は、「準備から本試験終了に至るまで、どれだけ真剣に、謙虚に取り組めるか」だと思います。これから受験される方は、ぜひ忘れずにいてほしいです。

-->